ロジカルシンキングはなぜ大事なのか - しがないコンサルタントの視点から
ロジカルシンキングなにがうれしいの
久々にラジオではない話を。
昨今の就活戦争や頭の良さそうな経営者の発信により、
なんとなく
ロジカルシンキング=正義、頭いい
の考え方が世の中に広まっているように思います。
「ロジカルな人を採用します」
「プレゼンはロジカルさが命」
ある程度意識の高いコミュニティにいると、こういった文言を頻繁に目にします。
かくいうコンサルタントという職業もロジカルシンキングは切っても切り離せない関係にあります。
というか、それの最たるもの。
ただ、ロジカルシンキングができる、ロジックを考えることができると何がいいのか、なぜ大事なのか。
実感を持って言葉にできる人はあまり多くないのでは、と思います。
確かにロジカルな人、と言われる人は頭良さそうだし、ロジックは大事だと上司にも言われる。
でも何がそんなに大事なのか。
「なんとなく、それっぽいから」
で止まる方も多いのでは。
私もコンサルタントの端くれでありながら、ロジカルシンキングに関しては本当に、「なにそれおいしいの」からスタートしたクチです。
ロジックとは何か、を理解するのでさえ時間がかかったのですが、ロジカルシンキングとは、的なことは語りつくされているのでここでは割愛するとして。
ロジックを作るということが、コンサルタントにとってなぜ大事なのか、実感したことを言語化しておこうと思います。
コンサルなりたての方、コンサルになってみたい方、ロジカルのもてはやされぶりを不思議に思っている方なんかは読んでみてください。
ロジックを大事にする3つの理由
私が思うに、コンサルタントがロジックを大事にする理由は以下の3つです。
1.所詮大した思考なんてできないから(思考を広げる/深めるため)
2.よそ者だから(納得してもらうため/情熱や地位の代替)
3.死にたくないから(建設的な議論をするため)
えらく悲観的に書いてますが、ネガティブな記事ではありません。笑
まず1から。どういうことなのかと。
コンサルタントにとって、成果物を生み出す際に使える武器は、
①会社として蓄積された知識と経験
②個人として蓄積された知識と経験
③頑張って考える
の3つくらいです。実際割合としては①10% ②20% ③70%ぐらいでしょうか。
何が言いたいかというと、頑張って考えなければいけない場面がたくさんあるということです。
じゃあコンサルタントの人は多くの人が驚くほど頭がいいのか。
月〇〇〇万ももらうほどの思考力を皆持っているのか。
そんなわけない。
そんなわけはないけれども、少しでもお役に立てる思考ができるように、いろんな工夫をします。
ロジカルシンキングもその一つです。
「今この1つの事柄だけに集中してるけど、それだけでいいんだっけ、他にないっけ。」(網羅的視点)
「これがいいって言ってるけどそれってなぜだっけ。」(深堀の視点)
こんな問いかけをすることによって自分の中で忘れていたことを思い出したり、新しいアイディアを引っ張り出したりできます。
いろんなフレームワークを持ち出してみたり、なぜ、なぜ、って問いかけてみたり、そうすることによってなんとか稚拙な思考力をレベルアップさせています。
実際、直感的に動くよりも、一歩立ち止まってこういう工夫を加えると、思考の筋が俄然よくなります。
逆に言えば、思考の質を高めないのにフレームワークにあてはめてロジカルな気分、とかはあまり意味ない、とも言えるかも。
完璧なロジックツリーはいらなくて、1つや2つ、今まで考え付かなかったことを考え付いたらそれで十分。
次に2の「よそ者だから」
これはどういう話かというと、
コンサルタントは会社の困りごとや達成したいことを支援する職業です。
そのためには自分たちがいくら頑張ってもそれだけでは到底だめで、結局のところお客さんに動いてもらわなければいけない。
で、人はどういうときに動くかというと、
・熱意や情熱に共感した時
か
・上の立場の人に指示された時
か
・本当に必要だと納得できた時
の3つぐらいしかない。
その上で、会社の上司でもない、生き死にを共にする関係でもないよそ者のコンサルタントという立場では、
3つめの方法に頼るしかないのです。
どこかのカリスマ経営者のように「直感的に間違いない!次に来るのはxxです!」といくら外部の人間が熱く語っても
共感を得るのは至難の業です。(大分関係が深い場合には可能かもしれませんが)
じゃあどう納得してもらうのか、説得力を作るのがロジックです。
ロジック的に繋がった話、漏れが無い話には、人に理解してもらう力があります。
言い換えれば、ロジックが繋がっている状態は、誰から見ても事柄の因果関係が分かる状態、ということでもあります。
どうしてこう思うのか、なぜこれを挙げたのか、結論に至るまでの道が分かるので、「確かにそうだな」と思ってもらえるのです。
これに関しては本当に実感することがあって
直感的に出した結論と、ロジカルに積み上げて出した結論とが全く同じだったとしても、
相手の頭で考えても同じ結論が出るか、という視点が大事になってきます。
人は究極的には自分で考えて出した結論しか納得できないものです。
そのためには自分が辿った道と材料を相手の頭に合わせた粒度で示す必要がある、ということなのかと。
最後に3の「死にたくないから」
これは上司の言葉なのですが、どういうことかというと。
私たちにとっての「死」それはお客さんにとって価値あるアウトプットが出せず、信頼を失う、という事態です。
私たちの死のリスクが高まる瞬間、それはこういう時です
・前提が間違っていた
・仮説の当てが外れた
・必要な情報が欠けていた
・・・
おお、死のリスク多すぎる。考えてたら怖くなってきました。
そんな不慮の事態において、ロジックは救命胴衣の役割を果たします。
仮に前提や情報が不足していたとしても、なぜこの結論にたどり着いたのか、数ある選択肢の中からどうやって選んだのか、といった過程が示されていれば、
変更になった部分の影響がどこに及ぶか、自分たちにもお客さんにとってもわかりやすくなります。
ここの部分が違うということは、AではなくBという結論になりますね、といった具合に。
変更を踏まえた建設的な議論に繋げることができるのです。
余程不合理なお客さんでなければ、次のチャンスで挽回すればなんとかなります。
これが、ロジックが十分に示されない状態だったとしたら、前提違う=結論違う=やり直し/信頼できない ということで死です。
こわい。
アウトプットを修正可能な状態にしておく、というのはとても大事なことです。
ロジカルならそれでいいってわけじゃないけど、ロジックまじ大事
仕事においては、コミュニケーション能力だとか、直観力だとか、マネジメント力だとか、本当に色々な要素がかみ合ってパフォーマンスに繋がるので、
ロジカル至上主義、ってわけではないのですが、
やっぱり使えると世界が変わる能力だな、とつくづく思います。
超苦労して、やっと使えるようになったっぽい初心者ですが、だからこそその効果を実感するのかもしれません。
どうやって気づきを得たか、というところもまた書きたいところ。
コンサルタントでなくても、研究してみる価値はありますのでぜひ。