どんな仕事してるのか、なぜ必要なのか
「コンサル」という職業のうさんくささ
コンサルタントを名乗るにあたり、具体的にどんな仕事をしているのか書いておこうと思います。
この仕事を始めて1年くらいは、「コンサルってなにするの?」というこの単純な問いに簡潔に答えられず、苦しい思いをしました。
あまりにも不甲斐ないので、職業を聞かれた時にコンサルを名乗らなくて済む方法は無いかと探したほどです。
なぜこれほど解に詰まるかというと、コンサルティングは他の職業にある「形」が無いからだと考えています。コンサルタントはメーカーのように、技術を武器に形あるモノを造る仕事ではありません。知識や思考力を武器とします。この点では弁護士や教員と似た部分があるかもしれませんが、取得しなければいけない資格という形もありません。
極端に言えば、名乗りさえすればあなたも明日からコンサルタントです。
うさんくさい。これほどうさんくさいお仕事なかなか無い。
・・・とはいえ、今は入社から2年が経ち、3つほどのプロジェクトに関わらせてもらい、さすがにこの問いに答えられないのはまずいので、私なりの解を用意してます。
端的に言うと、コンサルとは「お客様自身では解決が難しい問題を、一緒に解決する」お仕事だと思います。
私が勤める会社では、お客様から相談を頂く問題の多くは、会社の内部プロセス/システムの問題です。「経理業務に毎年多くのコストが掛かっている。削減する方法は無いか」「システムが老朽化している。システムを入れ替えるついでに業務を効率化できないか」といった、比較的範囲とやりたいことがハッキリしているケースもあれば、中には、「この会社全体の中長期のIT戦略を立てたいので手伝ってくれ」といった抽象的な相談もあります。
お客様の業種業態、問題の性質は様々で、集約して端的に言おうとするとどうしても抽象的な表現になってしまいますが、これら数々のプロジェクトに共通して言えるのは、皆、なんらかの、自分たちだけでは解決できない問題を抱えていて、コンサルに対し、自分たちには無い観点や知識、方法論を使って、問題をうまく解決してくれる、ことを期待しているということです。
ただ、最早昨今有名な話かとも思いますが、コンサルを雇うのにかかるお金は正直安くありません。具体的に言うと、一人のコンサルタントを雇うのに月約200万はかかります。自社内でやれたら費用はその半分以下で済むはずです。そのため、その費用を正当化できるだけの価値が必要です。その「価値」がどこにあるのか、もう少し書いておきます。
「お客様自身では解決が難しい」のにコンサルが解決に寄与できるのはなぜか
普通に考えて、自分の会社の問題は自分で解決できるのが良いです。それに、その会社のこと、業務のこと、システムのことを一番よく理解しているのは長く勤めてきた社員の方々一人ひとりであることに間違いはありません。
ではコンサルが出す価値はどこにあるのか、大きく3つくらいかと考えてます。
①プロジェクトワークの経験値
②第三者の視点
③問題解決へのコミットメント
①プロジェクトワークの経験値
業種業態にもよりますが、プロジェクトというのはそう頻繁にあるものではありません。規模が大きく難しいものであればあるほどなおさらです。普段の業務には精通していても、いざ、「3年後の戦略を立ててくれ」と言われると、普段とは違う頭の使い方をする必要があるため、すんなりとはいきません。やったことが無いので、どんな方法で進めたらよいのか、どんなリスクがあるのか、どんな対処法があるのか、見当もつかないことが多々あります。
実際に相談を受ける際にも、自分たちで進めようとしたが、3ヶ月間全く前に進まなかった、という失敗経験を踏まえてご相談くださる方も多々いるようです。
そこにおいて、コンサルタントはそういったプロジェクトワークを生業にしているので、完璧に同じプロジェクトなど無いにしろ、進め方、勘所などこれまでの経験を踏まえて心得ています。
個人の経験だけではなく、会社として過去何百とプロジェクトの経験を経て得た経験値は、方法論、もろもろのテンプレート、ストーリーと形を変え社員の中で共有されています。「プロジェクト」という特殊部隊の戦い方を知っていることは、一つコンサルタントの強力な武器になります。
ファームによっては、プロジェクトワークの経験値だけではなく、業種・業界の専門知識で勝負しているファームもあります。私が勤める会社はあまりそのような専門知識に強みを持っている会社ではありませんが、ここはファームによりけりです。
②第三者の視点
これには二つの側面があります。
1.ゼロベースで、今のあり方の見直すべき点に気付く
2.外圧になる
長い間あることをやっていると、「これが当たり前」という観念からなかなか抜け出せないものです。
ただ、私個人としては、多くの場合において、1のように、変えるべきことに気付いていない、というケースよりは「わかってはいるけど・・・」というケースのほうが多いのではないかと思っています。このセリフ、つまるところは解決策が分からない、時間が無い、でも無く、「本当に変えるべきだと認められない」ということだと思います。(もちろん、本当に変えるべきではないこともあります)
特に、今まで良しとしてきたことを変える必要があることだと認めることには、一般的にかなり高いハードルがあります。これまで積み上げたものを否定することになりますし、新しいことを始めることのリスクは継続ジリ貧リスクよりも大きく見えるものです。
そこへ、外から来たコンサルタントが「客観的な視点で」変えることを提案すると、「やはりやらなきゃだめなんだ」という後押しになったりします。
なので、本質的な1の要素よりも、意外に2のほうが大事な要素なんじゃないかと思っています。お客様の中の人が今までのことを否定するようなことを言うと角がたつこともありますが、コンサルタントはそのために雇われているので関係性の維持リスクも少ないですし。
③問題解決へのコミットメント
最後はライザップばりの根性論です。(笑)
というのは冗談ですが、月200万もお客様から頂いているので、コンサルタントはそりゃあもう、必死です。コンサル何人か雇おうものならフェラーリ買えちゃうんですよ。
問題を解決することを専門のミッションとして与えられ、そのために高額のフィーを頂いているので、それだけ解決への本気度が高いのは確かです。
ファクトが必要なら10000件を超えるデータを集めて切り口を変えながら分析するし、深堀が浅いと思ったら深夜までなぜなぜ分析を突き詰めて問題の本質を探ろうとするし。本気になれば、解決できない問題なんてそうそう無いんだと思います。
ただ会社が日々の活動を続けていくなかでこれだけのパワーを割けるリソースを用意するのって至難の技なんですよね。
うちの会社でも、提案段階でお客様の側のプロジェクトチームのリソースが用意できず結局プロジェクトを始められないというケースも良く聞きます。会社にとっては日々の生産活動を機能させることが大前提なので仕方の無いことなのでしょう。
それはそうと、
「ぐっちさんの1時間は○万円なわけだけど、それに見合う仕事した?」
たまにこんなこと聞かれるので、胃が痛くなります。
余談ですが、私自身は正直、まだそのお金に見合う働きは出来ていないと思っています。優秀なプロジェクトマネージャーやメンバーのフォローがありチームとしてはお金に見合うだけの働きをしているとは思いますが…。
この辺の難しさもおいおい。
次は「一緒に解決する」という言葉の本質についてもう少し書きたいと思います。
明日から仕事かぁ。
(・v・)